もう君がいない夜を越えられやしない
8月10日。22:38。
3列シートの夜行バスを予約したのに乗ってみたら4列シートだった。思わず座席を見て「うわっ」って言った。知らない人と肩が触れるような距離で座って、後ろを気にしながらリクライニングを調節した。枕を膨らませてアイマスクをする。10時間後に大阪に着く。
8月11日。11:17。
お盆の大渋滞で4時間半も遅れて着いた。こんなの初めてだった。開演まであと2時間半。
13:12。
2年ぶりの松竹座。正確に言うと853日ぶりだった。
着いた瞬間にちょっと泣いた。
チケットをもぎられて、エスカレーターに乗って、座席に向かう。久しぶりの赤いふかふかの椅子。何度も見た緞帳。もう一回泣いた。
13:30。
隣りに居た子たちが時計を見ながら小声で「5.4.3.2.1」ってカウントダウンするから、なんだかすごくドキドキしちゃった。「0」と一緒にブザーが鳴って幕が開く。
宏志朗くんがステージに出てきたその瞬間に涙が溢れて苦しかった。気持ち悪いくらい一瞬で見つけられて、本当に宏志朗くんだけが光って見えた。
でも、踊りだした瞬間涙が引っ込んだ。
「めちゃくちゃ楽しそうなんだけど。本当に2年間ジャニーズ忘れてた?めっちゃ踊るじゃん。なんにも変わってないじゃん。キラッキラじゃん。」
本当に本当に本当に楽しそうで、心から楽しそうな顔して踊ってて、ステージをずっとひとりで右に左に動いてて。本当に、めちゃくちゃ楽しそうで。ちゃんとやりたくて帰ってきたんだなぁって嬉しくなってたりもして。2年なんてそんな長い時間が経ったのか不思議だった。
でも背中は記憶の中よりずっと大人になってた。
最後に深くお辞儀をする宏志朗くんを見て、ふと「もうなにも言わずに居なくなったりしない」って言ってたのを思い出した。
それで、あぁきっと、最期はいつもより深く下げた頭を上げることなく幕が閉じるんだろうなって思った。たぶん泣いたりはしない。最後までひとりでステージを右に左に動き回ってると思う。だけど最期の瞬間で終わりをちゃんと教えてくれるんじゃないかっておもった。
こうやっていつも勝手に終わりを想像するのは良くないってわかってる。でもきっとタイムリミットはすぐだ。そりゃずっとアイドルでいてくれたら嬉しいけど。たぶんそんな訳にはいかない。
だからこそ、宏志朗くんがやりたいこと、やりたかったこと全部全部叶えばいいなって。
アクロバットみたいなことしててすごく思った。
宏志朗くんよりも出来る子がいたから殆どアクロバットなんてやってるの見たことなかったけど。できるんだよ。飛べるの。
誰かが居なくなるって、残ったひとにとってはチャンスだから。そうやって色んなことは巡るから。宏志朗くんには今このときに掴めるチャンスを全部もぎ取って欲しい。やりたいこと、やりたかったこと、やってみたかったこと、全部全部やって欲しい。
わたしは愛のかたまりが聴きたいよ。またひとりステージの真ん中に立つ姿が見たいよ。スポットライトを浴びてほしい。松竹座が割れるほどの歓声を向けられる宏志朗がみたい。
もう叶わない夢じゃなくなったから、欲張り過ぎだと言われるくらいに願うよ。
あと少しがんばってね。無事に全公演終えられますように。とっても楽しい夏のひと時をありがとう。
また秋に。
あぁ、こう言えるのも全部うれしい。
今日も明日も明後日もずっとずぅっと大好きです。